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伝説的漫画の映画化 能年玲奈主演「ホットロード」 出版社担当の回想録 [映画]

能年玲奈さん主演で映画化が決定している「ホットロード」は、紡木たくさんによる『別冊マーガレット』(出版社は集英社)に1986年1月号~87年6月号まで連載され、女子中高生を中心に絶大な人気を集めた少女漫画です。
単行本全4巻(絶版)、文庫版全2巻、完全版全3巻が刊行されています。

誰からも愛されていないという悩みと孤独を抱えながら生きる14歳の主人公が暴走族に憧れ、不良の道を進む宮市和希と、
バイクに命をかけ、死さえ覚悟しているような春山洋志の姿が描かれています。

映画は原作者の紡木たくさんが脚本を監修し、
2014年夏公開予定です。

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http://www.cinematoday.jp/page/N0061476より引用

この漫画「ホットロード」、80年代当時の出版社関係者の回想録によれば

当時は「ホットロード」の映画化、ドラマ化、アニメ化などの申し込みが編集部に殺到していたようです。
連載中から一切の取材をシャットアウトしたためで、その反発で他社の少女雑誌から、
「集英社はマンガ家の囲い込みをやめろ」「みんなの力で『ホットロード』を移籍させよう」
と誌面で猛烈なキャンペーンを張られたこともありました。

別マの作者近況欄に「私のことで争うのはやめてほしい…」というコメントが出て、この争いもお開きとなりました。あらゆるオファーを断ったのは編集部の方針というより、作者の意向であったようです。

作品の中に全てを込めて、あとは読者に委ねたいという、作者の思いの反映だろう、と書かれています。

この「映画化」までインタヴューも、紡木作品の映像化も、これまで一度も実現していません。

回想談によれば、

当時東京ディズニーランドでの別マ主催のマンガ家慰労会が開かれた際に、
「あれが紡木さん」という声に振り向くと、
くらもちふさこや故人となった多田かおるなど、先輩たちから少し離れて、
『ホットロード』の和希の面影がある、レモン色のワンピースを着た可愛らしい女の子が、
ニコニコっと笑いながら佇んでいた。

今は遠くかすんでしまった幻のような記憶――。

と綴られています。

原作者の紡木たくさんは1995年以来休筆していましたが、
12年ぶりの描き下ろしの作品『マイ ガーデナー』を2007年に発表しました。
テーマは「無償の愛」。

回想録ではこの作品をこう評しています。

中を確かめて意表をつかれた。
コマがほとんど割られておらず、一六歳の主人公さなのモノローグと会話が、全て横書きの明朝体と書き文字で流れて行く。
その背後に、いわさきちひろを思わせる淡いタッチの、挿絵にもマンガの断片にも見える、やわらかい絵がふわっと浮かぶ。
絵本とコミックとケータイ小説を合わせたような、見たことのない手法。

12年の休筆を経て、紡木たくはまったく新しい表現に到達したのだ。

その晩、不覚にも読み終えるまで涙がとまらなかった。
最良のジュヴナイルだと感じた。この作家の本質は何も変わっていない。
自分ではどうしようもない寂しさを抱え、家族にも馴染めず孤独に苦しむ子どもたちに送る、
「あなたは愛されている」「あなたを愛してくれる人が必ずいる」というメッセージ。

サリンジャーを超えるキャッチャー”がいるとしたら、それは紡木たくだと思った。
彼女はサリンジャーのように筆を折ったままではなく、新作を発表してくれたのだ。

と絶賛しています。

自分としては映画化について、
80年代の少年少女の心象に現代の少年少女が共感できるかどうかはわかりませんが、

TVドラマ「あまちゃん」で40・50代の方々の絶大な人気を獲得した、
能年玲奈さんが映画版の主役になったことで、
「あの当時」を知る世代に大ヒットする可能性が高いのではないでしょうか~!

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